ブログ版/不動産業界の歩き方
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ショートストーリー 「愚行」
○男は・・ビルの屋上へ行き、靴を脱ぎ、遠くを眺めながら・・自分がしてしまった愚かな行為を後悔した。こんな事になるとは・・魔が差したというか・・なんで・・あんな事をしてしまったのだろうか?

○その日の朝・・男は、いつもどおり出社して、いつもどおりデスクで缶コーヒーを飲みながら、同僚達と軽い会話を楽しんだ。朝礼の10分前・・和やかな雰囲気は1本の電話で急変した。上司は姿勢を伸ばし、緊張した表情で対応していたので、間違いなく本社からの電話だ。

上司は電話をきると・・男のほうを見て、『今からすぐに本社へ行くぞ。出かける用意をしろ!』と言った。男は、『今日の予定とかあるんですが・・』と言うと、『全ての予定をキャンセルしろ。今後の予定も全て私が引き継ぐ事になるよ。』と強い口調で通告された。

男は本社へ向かう途中、いろいろな事を考えたが、これと言って呼び出される理由がわからなかった。本社へ着くと、向かった先は営業本部ではなく、法務部と監査部があるフロアだった。この時点で悪い予感がしなかったらバカだ。パーテーションで仕切られた個室へ入ると、法務部長が待ち受けていた。

『さっそくだけど、君のお客さんで、○○様って、いるよね?』と切り出された瞬間、驚愕のあまり、心臓が止まりそうになった。まさか・・あの在宅オープンか・・売主が居住中の部屋でオープンルームを開催する売り出し方法だが、開催時間中は売主に外出してもらい、営業マン1人で対応するケースが多い。そのお客さんの部屋でオープンルームを行なった時の事を思い出した。

売主は30代後半の夫婦だった。部屋の内装はきれいな状態だったが、片付けは完璧ではなかった。リビングルームの窓付近に、バルコニーで干し終えた洗濯物を入れたカゴがあった。洗濯物の中に奥様の派手な下着があるのが見えた。誰もいなかった・・興味もあった・・男は少し考えて・・手を伸ばし、下着を手にした。裏にしたり表にしたり・・においを嗅いだりした。ただ、盗んだわけではなく、誰も知らないはずだった。

法務部長は、『とりあえず、見てもらったほうが早いので、今から、ある動画を見せるから、その後で事情を聞きます。』と言い、ノートパソコンで動画を再生した。そこに写っていたシーンは・・スーツを着た男が洗濯物の一部を手に取り、裏にしたり表にしたり・・最終的には元に戻して・・そんなシーンだった。(監視・・録画されていたんだ・・)と思った。。

『ここに映っているのは君ですか?』 『はい・・』 『手に持っていたのは洗濯物かな?』 『はい・・』 『女性の下着ですか?』 『はい・・』 『○○様の奥様が精神的にショックを受けて心療内科に通っているらしく、ご主人さんは会社と君を訴えるそうです。』 『・・。』 『何か弁明はありますか?』 『・・ないです。』・・男は、そんな返答しかできなかった。

法務部長は、『今から、その日の行動を全て思い出して、ノートに書き出してください。朝起きた時間から、出社した時間、現地に向かった時間、○○様とした会話・・なにもかも全てです。』と言い、退室した。隣にいた上司は黙ったまま座っていたが、やがて立ち上がり、無言で退室した。1人残された男は・・取り返しのつかない事態を再認識した。

今の時代・・携帯でもパソコンでもカンタンに録音や録画ができる。留守中のペットの様子を監視できる機器もあるし、何処にでもどんな機器でも仕掛けられる。不特定多数の来客が予想される在宅オープンルームで、売主が用心するの当然かもしれない。そこまで考えるべきだった。

今から俺はどうなるのだろう・・妻には、どう説明すればいいのか・・言わなくてもばれる・・解雇・・離婚・・破産・・終わりか・・全て終わりだな・・男は目の前に置かれたノートに触ることなく立ち上がり、部屋を出て・・屋上へ向かった。(終)

ま、こんなストーリー考えてみました。いかがでしたか?(笑) 契約や決済の録画を希望されるケースはたまにあります。契約交渉や案内のシーンも、営業マンが気がつかないだけで、録音や録画をされている可能性があると認識すべきですよ。電話も面談も、1人の時も・・会社でも、顧客の家でも、その可能性はあります。ま、ご用心。

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